増える子供の発達障害 ADHD(注意欠如多動症)の原因と対策
ADHD(注意欠如・多動症)は、「じっとしていられない」「集中が続かない」「衝動的に行動してしまう」といった特性が見られる発達障害の一つです。
日本では近年、診断される子供の数が増加傾向にあります。その背景には、社会の理解や診断技術の向上もありますが、生活環境の変化も無視できません。
ADHDの子供は、決して「わがまま」「しつけがなっていない」のではありません。脳の働き方に特徴があり、本人も周囲も生きづらさを感じやすいため、正しい理解と支援が重要です。
ADHD(注意欠如多動症)とは
症状としては、以下のものがあります・
1. 不注意(集中力が続かない)
- 宿題や話を最後まで聞くのが苦手
- 忘れ物やなくし物が多い
- ぼーっとしていて、うわの空に見える
- 意図したことを計画的に実行できない
2. 多動性(じっとしていられない)
- 座っているべき場面で立ち上がる
- 手足をそわそわ動かす
- とにかく動いていたい、という衝動がある
3. 衝動性(思ったことをすぐに行動に移す)
- 順番を待てない
- 質問が終わる前に答えてしまう
- 相手の話を遮ってしまう
実行機能の破綻。報酬系神経回路の問題。
ドーパミンがうまく作用していないとされています。
種類としては3つあります。
1.注意欠如優勢型
- ぼんやりしている
- 細部に注意を払えず、不注意でトラブルを起こすなど
- 忘れ物が多い、整理整頓ができない
2.多動・衝動性優勢型
- 集中力がない
- 過度に話す 他人のしていることに横槍をいれるなど
混合型
1と2の両方の症状が見られる。8割が混合型とされている。
原因と対策
ADHDの主な原因は、脳内の神経伝達物質(特にドーパミン)の働きに関係していると考えられています。遺伝的な影響が大きく、親族にADHDの傾向がある場合、子供にもその特性が現れることがあります。
しかし近年、環境要因も注目されています。
- 幼少期からの長時間のスマホやタブレット使用
- 運動不足
- 糖分過多の食事や食品添加物
これらが脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があるという研究も出てきています。
スマホやタブレットでSNSを見たりしていると脳からドーパミンが出ます。みんなもスマホいじってるからわかりますよね。
運動不足や糖分過多だと血糖値が高い状態が続きます。これも原因ではないでしょうか。
◆ 対策について
対策としては、以下のようなアプローチがあります。
1. 環境の見直し
- スマホやゲームは時間を決めて、代わりに外遊びや読書の時間を確保する。
- バランスのとれた食事を心がけ、血糖値の急激な上下を避ける(特に朝食が大事)。
2. 療育や専門支援
- 専門のクリニックでの診断・相談
- 発達支援センターや療育教室でのトレーニング
- 必要に応じて薬の処方も選択肢に(医師とよく相談を)
親としてどのように接するか
ADHDの子供は、毎日一生懸命に「頑張っているけどうまくいかない」ことに直面しています。親ができることは、まず子供の特性を受け入れ、安心できる環境をつくることです。
◆環境を整える
子供に必要以上に動画を見せない。自分も子供の前でスマホなどをいじらないようにしましょう。
お菓子、ジュースを与えすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。
◆ 否定ではなく共感を
「なんでできないの?」ではなく、「やろうとしてたんだね」「ここまではできたね」と、努力を認めましょう。ADHDの子は自己肯定感が低くなりやすいため、些細なことでも褒めて、自信を育ててあげることが大切です。
◆ 親自身のストレスケアも重要
子育ては長距離マラソン。うまくいかないと感じる日もあります。そんなときは、専門家や支援団体、SNSで同じ悩みを持つ親とつながるのも良い方法です。
まとめ
ADHDは、親の育て方のせいではありません。脳の特性によるもので、適切な理解と支援によって、子供はのびのびと成長していけます。
環境や食事、生活習慣の見直しも含めて、「困った子」ではなく「困っている子」として、子供の特性を正しく捉えることが何よりの第一歩です。
親も子供も、完璧でなくて大丈夫。焦らず、少しずつ、できることから始めていきましょう。